ウチの鉢バラ・アブラハムダービーの成長記録

2016年末、4鉢目のバラ「アブラハムダービー」を迎えました。4鉢目を選ぶときに気に掛けたのは「フルーツ香」がある品種。

バラの香りというと、芳香剤のローズ香や、紅茶の香りに似たものだと思っていました。フルーツ系の香りのバラがあると知って興味が湧き、強香と評判のものを迎えました。

アブラハムダービーはこんなバラ

アブラハムダービーはデビッド・オースチン氏により1985年に作出されたイングリッシュローズ。強いフルーツ香があります。樹勢が強く、枝はしなやかで良く伸びます。半つる樹形(シュラブ)で、四季咲き性があり、よく返り咲きます。

素敵な品種なのに、デビッド・オースチン公式サイトにはもう名前が無いのが寂しいところです。

花と香りと株姿

アブラハムダービーの花の色は、ピンク・アプリコット・オレンジ・イエローの複色。ひとことで何色と表現するのが難しい、独特の色合いです。蕾の頃はイエロー地にピンクとオレンジのマーブル模様が美しいです。

アブラハムダービーの蕾と咲き姿

咲き進むと、花の周囲はコーラルピンク、中心部はアプリコット~オレンジ、裏はイエローのグラデーション。咲き終わりには少し退色し、ベージュ・モーブ・イエローが入り混じった、アンティークな色味になります。

アブラハムダービーの花の色と咲き姿

花の形は「カップ咲き」からの「ロゼット咲き」。華やかな印象です。花の大きさは約10cm~13cmの大輪。花が開くにつれ、花の重みで俯いて咲くことが多いです。花持ちが良く、切り花でも1週間くらい持ちます。雨にも案外強いです。

香りは強いフルーツ香で、私の印象では桃の香りに近いと思います。花まで少し距離があってもフワリと漂ってきます。摘んで室内に飾ると、部屋中が良い香りに満たされます。

葉は若葉の頃は赤茶色。若く勢いのある葉にはツヤがあります。葉が展開すると鮮やかな緑に。若い花枝は、樹勢や気候によっては、鮮やかなバラ色になることがあります。トゲは大きめで鋭いですが密集はしないので、案外扱いやすいです。

アブラハムダービーの葉と枝

樹形は「シュラブ」と呼ばれる、半つるタイプ。やや横張りな枝は、しなやかで良く伸びます。長く伸ばせば、つるバラとして扱えます。株丈は約100~200cm。ウチでは鉢植えで60~150cmほど、適宜支柱を添えて育てています。

丈夫で育てやすい

アブラハムダービーは生育旺盛で、とても丈夫。日陰にも強く、鉢植えでも地植えでも楽しめます。耐病性は普通、ウドンコ病には強いです。耐寒性・耐暑性に優れているので、初めてバラを育てる方におススメです。

  • 追記(2023年2月):作出から30年以上経過したためか、残念ながらDA社での生産は終了しており、苗の入手は難しくなっています。

自立は出来るけど枝がしなやかなため、伸びると撓んできます。地植えでスペースに余裕があれば、自然な姿やフェンスに誘引して楽しめそうです。ベランダなど狭いところでの鉢植えなら、オベリスクや小型のドーム支柱、棒状の支柱を組み合わせても支えられます。

成長記録

2016年の12月、大手通販サイトで大苗を購入。片側に3本の枝が偏って伸び、枝は傷だらけ、という風変わりな姿で届きました。

2017年 控えの挿木苗を作る

5月、元株の最初の花は5個。8分開きごろから香りが漂い始め、部屋で香りを楽しみたくて、次々とカット。案内に書かれてあった通りのフルーツ香にうっとり。

2017春・元株の花

6月、元株の花後の枝を挿し木に(※挿し木はウチで楽しむ分だけ作ります)。用土ではなく、ロックウールを使用。2本が発根、7月には赤玉小粒を入れたスリット4号鉢(ロング)に鉢上げ。見分けるために、挿木A株・B株としました。

9月、挿木苗の株丈はA株が約40cm、B株が約30cm。成長に差が出てきました。それぞれスリット5号鉢(ロング)に、培養土を足して鉢増し。

10月、挿木Aの丈は約50cmを超え、早々と蕾を3個付けました。摘蕾しようかと思ったけど、樹勢が良いので咲かせることに。花の大きさは約8cm。小ぶりながら、鮮やかな発色、濃い香り。

2017秋・挿木株の花

挿木B株には蕾は付かず。枯れずにいてくれたらOK。元株は摘蕾。

12月、土替えと鉢増し。元株は購入時の6L角鉢はそのまま、土替えで。挿木苗は培養土を足してスリット6号鉢(ロング)に鉢増し。

2018年 元株は順調、挿木苗は成長を見守る

4月末、元株が開花。花の数は6個、商品ラベルとほぼ同じ咲き姿が見られて感無量。8分開きで摘んで、室内で色と香りを楽しみました。

2018春の花

5月、挿木Aは株丈が約60cmで蕾が4個、樹勢が良いのでそのまま咲かせました。挿木Bの株丈は約35cmと今ひとつ、蕾は全部除去し株の充実優先としました。

6月、元株はリッチェル8号鉢に鉢増し。

11月、元株のみ開花。太い枝についた3個を残し、あと2個は摘蕾。挿木苗は開花をあきらめ、株の成長を優先。

2020年 挿木苗を1株失う

2019年の春は引越しのために切り戻して、3株とも花は諦めました。夏は手入れがほとんど出来ず。枯れずにいてくれてよかった。

2020年5月、前年のダメージのせいか、3株とも蕾は少なめ。元株は蕾を半分に減らして4個、挿木Aは2個、挿木Bは6個。

2020春の花

10月、元株と挿木Bは蕾が3個ずつ。挿木Aは樹勢が弱り蕾も付かず。黒星病も出て残念。

12月、植え替え時、挿木Aにコガネムシ幼虫の食害と癌腫病が発覚。弱った原因はこれだった。

挿木苗の虫害と癌腫

残念だけど、挿木Aとはお別れ。

2021年 支柱を使わずに伸ばしてみた

5月、元株には蕾が11個。挿木Bは9個。充実した美しい花がたくさん咲きました。

アブラハムダービーの開花2021

昨年末に挿木Aを失ったのは残念でしたが、残った2株の樹勢は上々。今年は支柱を使わず好きに伸ばしたところ、自由過ぎるほどの横広がり。今年は早めの花摘みはせず、そのまま枝に咲かせました。

コメント

  1. bel より:

    3年ほど前にアブラハムダービーを購入しました!初心者でしたがこの薔薇の形や色香がとても気に入っています
    昨年地植えしましたが茎が細くふらふらしているので支柱は必至とおもっていました
    自由に伸ばしてもいいのですね

    • nodoka より:

      bel様 コメントありがとうございます。
      アブラハムダービー良いですよね!地植えにされているのですね、羨ましいです。
      記事にしたウチのアブラハムダービー、2年目以降の枝は直径1cmを超えて硬化し自立可能に。そこから出る新しい花枝は細長く柔らかく、支柱無しだと予想外の株姿を見られて面白かったです。ただし物凄く場所を取られました(苦笑)
      茎が若い時は、折れ予防のためにも支柱はあったほうが良いと思います。支柱を使うかは、実際の枝の状態・栽培場所の状況・育て主様の好み次第と思われます。
      もうすぐ開花の時期ですね。たくさん咲きますように(^^)

  2. 母ちゃん より:

    薔薇初心者です。とても参考になりました。ミニ薔薇なら育てているのですが、大鉢とオベリスクが余っていたので半ツル性の薔薇もチャレンジしてみようと考えていました。狭いスペースと夏の強い日差しに毎年悩まされておりますが、お花の香りが漂う庭に憧れてまして、強靭で強香の薔薇を探していたのです。香りも参考になる物が少なくて、桃の様な香りなら私の求めている香りにピッタリ!アブラハムダービー育ててみたくなりました。

    • nodoka より:

      母ちゃん様 コメントありがとうございます。
      大鉢とオベリスクをお持ちなのですね。いつでも半ツル性のバラをお迎えできそうですね(^^)アブラハムダービーの香りは本当に良いものです。最初の開花までは半信半疑でしたが、ちゃんと案内通りのフルーツ香でした。枝も硬すぎず良く伸びるのでオベリスクに巻きやすいと思います。
      ここでお詫びです。「初心者にお勧め」と書いていましたが、苗の入手が難しくなっています。作出から30年以上経過したためか、残念ながらDA社での生産は終了していました。先ほどバラ苗のネット通販の数社を検索してみましたが、冬の販売シーズン末期のためか、現時点でアブラハムダービーの苗は完売か、取扱終了でした。契約業者での生産はあると思うので、大型園芸店の実店舗に並ぶ可能性はあるかもしれませんが、分かりません。どこかのお店で、あるいはバラ園で、アブラハムダービーに出会えますように。